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日刊 温暖化新聞|エダヒロはこう考える

20080317

世界のKY(空気読めない)にならないために

温暖化に限りませんが、グローバルな問題に取り組むうえで、各国が自国の取り組みやスタンスを判断するために必要な尺度が3つあると思います。

1)合目的性:その課題を解決するうえで、どのくらい役に立つか
2)国内受容性:国内にとってどのくらい受け入れやすいか
3)国際適合性:世界の常識や流れにどのくらいあっているか、さらには、世界でリーダーシップをとって流れを創っていく力がどのくらいあるか

これまでの日本政府や産業界のようす(と世界からの見られ方)をみていると、
1)△
2)◎
3)×
という感じに思えます。

国内産業界の空気を読み過ぎるあまり、世界の空気が読めない(KY)。世界の空気なんて読む気すらあまりない、という状態に見えることすらあります。

12月にインドネシアのバリ島で、気候変動枠組み条約の第13回締約国会議(COP13)が開催されました。1万人以上が集まり、京都議定書の第一約束期間後(2013年~)の枠組みなどについて話し合われました。

この会議のことは日本でも大きく報道されたと思いますが、会議に先立ち、150以上のグローバル企業の経営者たちが「バリ・コミュニケ」という共同声明文を出したことは、あまり知られていません。声明文はあとにつけておきますが、
「われわれは気候変動対策を成長促進戦略とみなしている」
「われわれは、低炭素経済構築のために国内外で企業部門に求められる政策・対
策立案にあたり、政府に積極的に協力することを約束する」

産業界が「早くしっかりやってくれ」と各国政府の指導者たちに呼びかけるものです。この声明文には、150の企業の経営者が署名をしています。いくつか挙げると、
フィリップス、シェルUK、サンマイクロシステムズ、テスコ、ユニリーバ、ボーダフォン、英国航空、コカコーラ、デュポン、GAP、GE、ヒューレット・パッカード、ジョンソン&ジョンソン、コダック、マーク&スペンサー、メリルリンチ、ネッスル、ナイキ、ノキア、スイス再保険、テトラパック、フォルクスワーゲン、ヤフーなど。

欧米の企業に並んで、中国企業の名前も2社ほどあります。しかし、日本の企業は1社も入っていません。世界中が注目するこのような声明文に、日本企業が1社も入っていないということは、それはそれで世界に大きなメッセージを送っているといえるでしょう。

日本企業だって一生懸命考えて、一生懸命取り組んでいるところがいっぱいあるのに……。残念だなあ、もったいないなあ、と思います。この声明文の一節、「われわれは、この枠組みの一部として、炭素市場の促進と拡大が不可欠だと考える」がひっかかったのかもしれません。日本企業のお目付役である経団連は、炭素市場を作るための排出量取引にずっと強硬に反対していましたから。

「世界の常識」から外れて、国際的なリーダーシップをとることはできません。「世界の常識」がすべて正しく良いわけではありませんが、「世界の常識」を考慮に入れずして、グローバルな世界で効果的に生きていくことは難しいでしょう。知った上で、「それで、日本は」と考えてスタンスを決め、議論していけばよいのだと思います。

企業の経営者に会う機会があったら、「バリ・コミュニケ、ご存じですか? 御社はどう考えますか?」とぜひ聞いてみて下さい。そしていつの日か、日本企業の経営者が最初の呼びかけ人となって、グローバルな課題に立ち向かう決意と責任を宣言する声明文が出される日が来ますように。

バリ・コミュニケ

このコミュニケは、インドネシア・バリ島で12月3日~14日に開催された2007年国連気候変動会議に先立ち、150以上のグローバル企業の経営者たちによって発表された。

今や、圧倒的な量の科学的な証拠が存在する。気候変動は非常に深刻なグローバルな社会的、環境的、経済的リスクであり、グローバルで迅速な対応が必要である。

われわれは企業リーダーとして、早期に強力な気候変動対策を行うことの利益が、行動しないことの費用を上回ると確信している。

衰える兆しのない気候変動の経済的、地政学的な費用は莫大な額となり、世界を大混乱に陥れかねない。すべての国と経済が影響を受けるが、最も早期に最大の被害を受けるのは、最貧国だろう。

気候変動の最悪の影響を回避するために、温室効果ガス排出量を削減するための行動の費用は、特に共通の国際的なビジョンのもとに実施すれば、コントロールすることができる。 

世界の排出量をコントロールする行動が一年遅れるごとに、不可避な結果のリスクが増大し、経済、環境、社会的な潜在的被害が拡大して、将来、一層急速な排出削減が必要となるだろう。

低炭素社会への移行は、重要なビジネスチャンスをもたらすだろう。世界が必要な規模で行動すれば、数十億ドルに及ぶ低炭素技術・製品の新市場が創出される。

つまり、われわれは気候変動対策を成長促進戦略とみなしている。気候変動を無視すれば、最終的には経済成長が損なわれるだろう。

十分に意欲的で国際的、包括的、かつ法的拘束力のある国連温室効果ガス排出削減合意がなされれば、経済界は確実に、低炭素技術へのグローバルな投資拡大を迫られるだろう。われわれは、この枠組みの一部として、炭素市場の促進と拡大が不可欠だと考える。炭素市場が必要な柔軟性をもたらし、費用効果の高い移行を可能とし、開発途上国に財政的支援を提供するからだ。

危険な気候変動を回避するための、排出削減の全体目標は、主に科学に基づいて設定しなければならない。第4回IPCC評価報告書によれば、世界の排出量を速やかにピークアウトさせるためには、少なくとも2050年までに50%の削減が必要である。排出量のピークが遅れるほど、必要な削減量は拡大する。すべての国がそれぞれの役割を果たさなければならないが、最大の努力をしなければならないの
は、すでに工業化された国々である。

12月にインドネシア・バリで開催される国連気候変動会議で、各国が包括的交渉の作業計画に合意すれば、2009年のコペンハーゲンでの合意、2012年以降の発効が確実となる。

われわれは、世界の指導者たちに対し、この好機を逃さぬよう要望する。

その代わりにわれわれは、低炭素経済構築のために国内外で企業部門に求められる政策・対策立案にあたり、政府に積極的に協力することを約束するものである。


 
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